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ガスクロマトグラフ質量分析(GC-MS)の原理・特徴

  (GC/MS:Gas Chromatograph Mass Spectometer)

 
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 ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC/MS)は、有機化合物(特に低分子量成分)の定性・定量を行う分析装置であり、ガスクロマトグラフ(GC)と質 量分析装置(MS)を結合した複合装置である。GCで分離した単一成分についてMSスペクトルを測定することにより成分の定性を行い、MSにより検出された イオンの強度により定量を行う。


GC-MS原理図


 通常分析対象物には多数の成分が含まれているが、GCでこれらの成分を分離した後、MSで定性分析を行う点のがこの分析法の特徴である。一般にGCは多成分の分離は得意であるが、GCだけでは分離した各成分の詳細な同定は困難である(原理的には、標準試料を用いてレテションタイムを調べることである程度の同定はできるが、ピークの重なりなどもあり容易ではない)。これに対して、MSは単一系の定性は得意であるが多成分系はピークの重なりなどの問題で不得意である。したがって、これら二つの方法を上手く組み合わせることで相補的に利用し、多成分系の定性分析を可能としている。

 GCは、カラムと呼ぶ細長い管に充填材を詰めたものであり、キャリア・ガスと呼ばれる不活性ガス(N2,Heなど)と試料を注入する。充填材との相互作用が、成分によって異なるので、相互作用の強い成分は移動が遅れ、相互作用の少ない成分は早く移動することを利用して分離を行う。また、充填材や実験条件(温度など)をうまく選ぶと、成分の性質の違いによる保持時間が違ってくることを利用して分離性能を高めることも出来る。
 ガスクロマトグラフ(GC)カラムの種類と特徴
 ガスクロマトグラフ(GC)のカラム選択
 ガスクロマトグラフ(GC)のカラム使用上の注意点
 ガスクロマトグラフ(GC)の検出器の種類と特徴
 ガスクロマトグラフ(GC)の測定条件の考え方

 MSについては、2重収束型(セクター型)、4重極型(Q-ポール型)の2種に大別できる。

 

GC-MS模式図

 

 カラムへの試料の注入方法により、パックドカラム用、スプリット/スプリットレス、クールオンカラム、温度プログラム気化、ソルベントレス等の種類があり、目的に合わせて使い分ける。カラムにもいくつかの種類があり、分析目的や対象成分の種類によって使い分けることでより詳細な分析が可能となる。また、類似の分析法として、カラム部が液体クロマトグラフィーになったLC-MS、質量分析計を2段にしたMS-MSなどのいくつかの派生法があり、目的に応じて使い分ける。

 特徴としては、揮発性の有機化合物や気体試料の定性・定量分析が可能で、カラムを交換することによって各種有機化合物や永久ガス(N2,O2,Ar等)に対応できる点などがあげられる。また、試料の導入は、溶液やガスのいずれかで行い、感度はppm以下、場合によってはppbやpptの分析も可能である。

 ただし、化学反応過程が含まれることから前処理の反応条件や干渉元素の発生などの注意が必要である。例えば、試料の分解が不十分な場合には水素化物の発生効率が低下して、十分な感度向上が得られないことがあり、分解に使用した硝酸が残っていると妨害となることもある。また、AsやSeなどは予備還元を行う必要があるが、その条件によっても影響を受ける。


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 さらに、ガス化できない試料や、高温での気化過程で分解してしまうような試料の分析には不向きである。気化できない試料の場合には、LC-MSなどの他の分析手法の適用を検討することになる。気化過程で分解してしまうような試料は、分解の段階で別の物質に変わってしまうことになるので、元の物質の詳細な情報を得ることが困難になるがあり、このような場合も他の分析方法を検討する必要がある。ただし、意図的に試料の熱分解を行うことで、熱分解時の発生ガス分析を行う熱分解GC-MSと呼ばれる分析もあり、工業材料の分析などにおいて広く利用されている。


 ただし、ガス化できない試料や、高温での気化過程で分解してしまうような試料の分析には不向きである。気化できない試料の場合には、LC-MSなどの他の分析手法の適用を検討することになる。気化過程で分解してしまうような試料は、分解の段階で別の物質に変わってしまうことになるので、元の物質の詳細な情報を得ることが困難になるがあり、このような場合も他の分析方法を検討する必要がある。ただし、意図的に試料の熱分解を行うことで、熱分解時の発生ガス分析を行う熱分解GC-MSと呼ばれる分析もあり、工業材料の分析などにおいて広く利用されている。


 このように測定困難な試料については、誘導体化することによって分析が可能となる場合もある。誘導体化では、難揮発性化合物を揮発性に変えて分析可能にするだけでなく、

 ・目的成分の熱安定性を増大し,熱分解を防ぐ
 ・カラム固定相に対する不可逆的吸着を減少させる(テーリングの抑制)
 ・目的成分のピーク分離を向上する
 ・感度を向上させる
 ・光学異性体の分離能を向上する

という効果もあり、さらに、

 ・構造解明を容易にするような、フラグメンテーションを誘導する
 ・分子イオン強度を増大させ、分子量情報を取得する
 ・イオン強度の増大,高質量イオンの形成により、高感度分析を可能とする
 ・負イオン化学イオン化(NICI)を使用可能にする
 ・ハロゲン等を導入し、化学的干渉を抑制して高分解能質量分析を行う

などの目的でも利用される。誘導体化の方法には、シリル化、アシル化などが代表的なものとしてあげられる。ただし、誘導体化を行う場合には、誘導体付加による質量数増大によって測定範囲を超えてしまうことや、残留試薬による装置ダメージなどに注意する必要がある。

 代表的な用途としては、有機化合物の定性、定量であり、組成分析の他にも残留農薬やVOC、ダイオキシンなどの環境関連などで広く利用されており、食品・飲料の揮発性成分(匂い成分)の分析、食品・飲料の異臭成分の分析なども多く行われている。この他にも、配線基板などからの揮発性成分の分析、高分子材料中のモノマー成分や添加剤成分の分析、医薬品中の在留溶媒成分の分析などにも用いられる。また、環境分析などにおいては、捕集菅を用いてサンプリングを行った後、加熱によって捕集成分を脱離させるクリーンルームのエアー分析なども行われている。

 微量成分の分析を行う時には、分析前に濃縮作業を行うことが有効な場合がある。例えば、前述の捕集菅によるサンプリングも一種の濃縮過程と捉えることができる。このほかには、液体窒素などを用いたパージアンドトラップ法なども多く用いられる方法の一つである。



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