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液体クロマトグラフ質量分析(LC-MS)の原理・特徴

 (LC/MS:Liquid Chromatograph Mass Spectometer)

 
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 クロマトグラフ質量分析の一種で、分離手段として液体クロマトグラフ(LC)を用いる。基本的な原理は、GC/MSと同様であり、通常多数の成分からなる分析対象物に対して、LCでこれらの成分を分離した後、MSで定性分析を行う。一般にクロマトグラフは多成分の分離は得意であるが、LCだけでは分離した各成分の詳細な同定は困難である(原理的には、標準試料を用いてレテションタイムを調べることである程度の同定はできるが、ピークの重なりなどもあり現実的には難しい)。これに対して、MSは単一系の定性は得意であるが多成分系はピークの重なりなどの問題で不得意である。したがって、これら二つの方法を上手く組み合わせることで相補的に利用し、多成分系の定性・定量分析を可能としている。


LC-MS原理図

LC-MS模式図


 そして、LC-MSにおいてはGC-MSと比較してクロマト部分の違いによっていくつかの異なる点がある。GC-MSは気体以外の試料の場合には、何らかの前処理によって試料を気化させる必要がある。多くは熱による方法であるため、熱によって試料が分解するなどの変質する場合には注意が必要であり、気化しない場合には分析できないケースもある。これに対して、LC-MSでは液体のままで良いため熱に対して不安定な試料にも容易に適用でき、気化しにくいものでも評価できる。


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 ただし、当然ながら液体が分離物としてクロマト部分から質量分析部に送られることになるが、質量分析部は高真空状態であるため、そのインターフェース部で何らかの工夫が必要になる。その工夫(方法)にはいくつかのものが提案されており、代表的なものには以下のようなものがある。





・連続フローFAB
 LC液にマトリクス液(グリセロールなど)を混入してFABイオン化部に導入する。高極性のものに適している。


連続フローFAB模式図


・大気圧化学イオン化(APCI)
 LC液を常圧で噴霧してコロナ放電でイオン化する。イオン化した大気成分と対象成分をイオン分子反応させて、差動排気によりMS部に導入する。


APCI−MS模式図


・エレクトロスプレーイオン化(ESI)
 LC液を高電圧キャピラリーに導入して荷電微少液滴を形成して噴霧する。溶媒を蒸発させた後対象イオンを直接気化してMSに導入する。


ESI模式図


・サーモスプレイ(TSP)
 低真空状態の前室にLC液を噴霧して対象成分をイオン化して高真空の質量分析部に送り込む。他法に比べて多量の試料を導入できるが頻繁なメンテナンスが必要などの欠点もある。

・パーティクルビーム(PB)
 LC液をセパレーターに噴霧して溶媒を除去してEIイオン化する。EIイオン化のためスペクトル集なども充実しているため解析しやすい。

 これらそれぞれに特徴があり、目的に応じて使い分けることになる。例えば、大まかには次のような使い分けをすることもできる。


イオン化法の特徴


 また、質量分析部には4重極(Q-pole)型が使用されることが多いが、セクター型や、最近ではTOF-MSを搭載した装置も開発されている。

 LC-MSの代表的な用途としては、

 ・環境ホルモン分析
 ・飲料水、河川水中の農薬分析
 ・食品残留農薬分析

などの環境分析関連や、

 ・食品成分分析
 ・食品添加物分析

などの食品関連分野などがあげられ、この他にも、

 ・医薬品分析
 ・洗浄液の成分分析
 ・溶液中の微量不純物分析
 ・溶液中の添加剤分析

など、多様な分野で活用されている。

 また、最近では、LC-MS/MSと呼ばれる質量分析計を2段(タンデム)に搭載した装置も開発され、広く利用されている。LC-MS/MSでは、LCで分離した特定成分の質量分析によって特定された質量数成分について、さらにもう一度質量分析を行うものである。一段目の質量分析のフラグメントパターンによって同定が可能なこともあるが、質量数の重なりなどによって同定が困難な場合もある。このような場合に、特定質量数成分だけを2段目の質量分析計に導いて、さらにフラグメントパターンを解析することによってより詳細な解析が期待できる。また、質量数の重なる成分や近接成分などの妨害成分が除去されるために検出感度の向上効果も期待できる。



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