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蛍光X線分析法(XRF) マトリクスと検量線の形状
(XRF:X-ray Fluorescence Spectrometer)
通常の分光分析においては、検量線は直線で表すことができる。しかし、蛍光X線においては、共存元素、マトリクスの影響のために必ずしも直線とはならないケースがある。
例えば、代表的な金属材料であるステンレス(SUS)においては、鉄(Fe)をマトリクスとする。この構成成分の一つであるCrを分析する場合、Crは当然ながら入射X線によって励起されて蛍光X線を発生する。しかし、これと同時にFeから生じる蛍光X線によっても励起(これを再励起と言う)されるため、実際よりもCrに帰属される蛍光X線が強く観測される、すなわち、一般的な直線上の検量線で定量すると見かけのCr量が多く評価されてしまうことになる。このことを考慮した検量線は、数に示すように上に凸の検量線となる。これに対して、Niの場合はFeによる再励起は起きず、逆にCrの場合と同様にFeにNiが発生した蛍光X線が吸収されるため、実際よりも弱く観測されてしまい、見かけの能動を低く見積もってしまうことになる。しかし、Coの場合はこれらの影響がほとんどないため、検量線は一般的な直線に近いものとなる。
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