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X線光電子分光法(XPS、ESCA)の原理・特徴(化学修飾)
(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)
XPSは、絶縁物から導体まで幅広くほとんどの材料に対して分析可能なことから、さまざまな表面物性の関係する場面で使用されている。主な用途としては、半導体や金属などの無機物から有機物までlほとんどの材料について、極表面の組成、化学状態解析、汚染解析などが行われている。また、表面改質や接着・剥離解析など表面が関与する数多くの物性や機能の評価にも用いられている。
ただし、XPSで得られる化学状態はあくまでも隣接元素との結合状態を反映したものであり、例えば、エーテル結合(C-O-C)とアルコール(C-OH)や、エステル結合(COOC)とカルボン酸(COOH)の区別はできない。
これらの区別をしたい場合には、FTIRを利用することが一般的な方法ではあるが、極表面という領域からは外れてしまうことになる。どうしても極表面の状態を知りたい場合には、化学修飾法を用いる必要がある。これは、アルコール性水酸基やカルボン酸のみと反応する試薬をマーカーとして反応させ、マーカー試薬をXPSによって検出する方法である。マーカー試薬には一般的にはXPSで感度の高いフッ素原子を含む物が用いられることが多い。ただし、化学修飾法は反応条件によって反応率が変化してしまうなど難しい面もあり、テクニックと経験が必要となる。
また、XPSでは通常光電子過程によって放出される電子によって検出されるピークを解析するが、同時にオージェ過程によって放出されるピークや、放出過程で特定のエネルギー損出を受けて検出される成分(例えば、プラズモンピークなど)、荷電子帯起因の成分も存在する。一般的には、これらのピークは複雑であり、解析は容易ではない。ただし、それぞれに特徴的な情報を含んでいることから、詳細に解析することでメインピークだけでは得られない情報を知ることもできる。例えば、銅の酸化状態について、メインピークだけでなく、オージェピークも併用することで、0価、1価、2価を区別することが容易になる。
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