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トラブル・不良分析 接着不良・剥離分析

 
 
 

 接着不良剥離という問題も数多く見られるものの一つであるといえます。しかし、きちんと筋道を立てて論理的にこの問題に対してアプローチできているケースが意外と少ないというのも事実です。

 接着不良剥離といった場合、ほとんどの方は表面分析が必要だと判断されます。そして、少し分析ことをご存知の方はX線光電子分光法(XPS)を実施しようという流れになります。しかし、実はここに落とし穴があるのです。特に、剥離問題の場合、表面分析ももちろん必要なものの一つではあるのですが、剥離自体がどのようなパターンに当てはまるのかということを考えながら進めていかないとゴールにはたどり着けません。

 接着不良の場合、最もオーソドックスな原因は接着面に何らかの成分が付着したことが考えられます。例えば、シリコーンなどのオイル上成分などが付着すれば、ほとんどのケースで接着不良を起こすことが容易に想像できます。したがって、この場合XPSなどの表面分析を行うということになるのは間違ってはいません。しかし、ここでも冷静に全体を見渡して様々な可能性を考慮した上で仮説を立てて進めていく必要があります。
 この場合でも、可能な限り接着面の形態観察を実施することが望ましいと言えます。例えば、この段階で何らかの異成分が存在することが確認できた場合、そして、その形状から原因物がプロセスや原料などを考慮して予想できる時にはすぐに対策に動ける可能性があります。依頼分析に出せば、どんなに短くても数日のタイムラグが発生してしまいます。状況によってはこの時間が命取りになることも考えられます。接着剥離の問題に限らず、まずは、手元で実施できることから進めていくということが重要です。
 また、原因物の予想にまでは至らなくても、原因物が確認できるのかどうかで厚さを予想できることもあり、それによってその後の分析で候補となる手法を絞り込むことができます。また、表面は均一なのか、何かが斑状に付着しているのかという情報がわかるだけでも大きな進捗といえます。斑状の場合、状況によっては分析エリアの小さな手法イメージングの可能な手法を選択する必要があるかもしれません。
 可能な限りの事前情報を収集した後は、基本的には組成分析を行うことになります。表面感度の高さからXPSが採用されることが多いのですが、原因物が揮発性であった場合には超高真空という雰囲気が問題になりますし、有機物であった場合原因物の特定は難しいことが多いという問題もあります。したがって、何でもかんでもXPSという思い込みだけでは避ける必要があります。XPSが不適切と判断される時には、例えば、赤外分光法(FTIR)SEM-EDXなども有効な候補となりえます。また、超高真空ではありますが、その感度から飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)という選択肢もあるでしょう。
 いずれにしても、まずは表面に何かが存在していないかどうかを確認するというのがオーソドックスな進め方といえます。ただし、接着不良が必ずしも表面汚染物が原因というわけではなく、また、汚染物が必ずしも外来のものであるということもありません。例えば、添加剤ブリードアウトしてそれが原因となって接着不良を起こすということも良くあるパターンの一つです。

 剥離問題の場合、少なからず見られるのが、界面剥離であると思い込んでいるケースです。一口に剥離といってもいくつかのパターンがあります。代表的なパターンとしては、下図に示すような界面剥離層内破壊の二つがあります。


      
     界面剥離        層内剥離
                (脆性破壊)


 まず確かめなければならないことは、どちらのパターンに当てはまるのかということです。層内剥離の場合、接着自体は問題なく行われていると判断できます。このような場合には、母材自体の強度が足りないために破壊された、接着プロセスによって界面近傍に脆弱層が形成されてしまったことなどが考えられます。前者の場合には、考えられる対策は母材の変更しかないのですが、後者の場合には様々な要因が考えられます。

 接着剤自体や含まれる溶剤成分などによる影響、熱融着などの場合にはその熱による影響などが良く見られるパターンです。この他にも、母材の添加剤が表面に近い状態にある界面付近に濃縮されたために強度が低下するということも起こることがあります。


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 これらの原因を究明していくためには、界面付近付近、破壊面付近の組成情報化学構造情報高次構造情報などが重要になってきます。したがって、最もオーソドックスなアプローチとしては、剥離面表面分析を中心に行っていくことになります。そして、表面分析の中でも組成情報が得られるXPS化学構造情報が得られるFTIRなどを中心に分析を行っていくことになります。もちろん、断面方向からの形態観察による剥離状態の確認は重要であり、さらに、TOF−SIMSFTIRなどを用いた分布解析によって特定成分の濃縮などについての分析も有効なアプローチの方法といえます。


 これらの層内剥離に比べて、比較的解析が容易であると考えられがちなのが界面剥離です。これは、何らかの妨害成分が界面に存在したために剥離が起きた、すなわち、接着不良であるという思い込みから出てくる結論です。確かに、そのようなパターンであることが少なくないのも事実ですが、必ずしもそうではありません。

 界面剥離といっても、きれいに界面で均一に剥離していることは稀であり、斑状に剥離していたり、実際にはごく薄いスキン層を道連れにして剥離していることが多々あります。これらについて見極めるためにも、剥離面の詳細な観察が重要になってきます。実際に、剥離面を一度も観察しないまま分析相談をするケースというのが予想以上におおくあります。

 いずれにしても、前述のように剥離がどこで起きているかを明らかにすることが最初の目標になりますから、詳細な剥離面の観察や表面分析を中心としたアプローチが重要になってきます。ただし、ここでも検出深さ測定エリアなどに気を付けながら手法選択を行っていかないと間違った結論に達してしまう可能性があることは言うまでもありません。


 

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