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プロの感(意味のある感と博打の違い)
直感、第6感など、「感」 に関する言葉はたくさんあります。そして、それらの言葉は肯定的な意味と否定的な意味を持つものの両方があり、どちらかと言えば肯定的な使い方が多いかもしれません。日常生活を振り返ると、そのかなりの部分が無意識の感覚的な行動に支配されているともいえます。例えば、歩くときに右足を何cm何度の角度で持ち上げてなどと考えながら歩いている人はいません。また、階段を上がるときに段差を測ってから進む人はいません。どのぐらい足を上げれば良いかということを過去の経験などを元に、正に無意識の内に「感」で実行していると言えます。
しかし、「感に頼るな」など否定的な使い方ももちろんされます。特に、技術分野においては、「evidence」を重要視することから、データや実験結果など様々な根拠が必要とされます。ところが、一方で製造現場などでは実験室の理屈よりも、長年その業務に携わっているベテランの意見の方が正しいことも少なくありません。これは、まさに長年の経験に基づく「感」です。
ここで、「感」について注意深く見てみると、大きく2種類に分類されることがわかります。一つは、文字通りの「感」であり、何の根拠も経験もないものであり、例えば、サイコロの目などです。そして、もう一つは前出のベテランの感などの理論化はされておらず定量的ではないが、経験などの理論化・定量化されていない情報に基づく「感」です。この感覚を持っていることを技術開発の領域で言うならば、「鼻が利く」などと言われることがあります。これも、長年の技術開発の中で培ってきた経験をもとにして、一瞬でものになりそうか、難しそうかといったことや、実験計画、開発計画のラフスケッチを頭の中に描くといった、「感」による判断です。
したがって、これら二つの「感」は全くその意味と価値がものであるということです。前者は、文字通り博打であり、少なくとも技術開発などの場に持ち込んではならないものです。しかし、後者については実は非常に重要な役割を担うものです。もちろん、技術開発においては、最終的にはデータなどのevidenceを以って議論されなければなりません。しかし、技術開発とは未知の領域との対峙であり、「感」で判断しなければならないことが多々あります。
しかし、ここで重要なことは「感」を働かせる人間の経験です。技術的に意味のある感とは、無意識の内に過去の経験をもとにして瞬時に判断を下した結果です。したがって、脳が無意識のうちに判断を下すための基準となる経験の引き出しが少なければ意味がありません。鼻の利く技術者とは、成功と失敗、分野、人、考え方など様々なものを経験していなければなりません。無意識の感とは、脳な中で過去の経験を紐解いて類似性のあるものを探し出し、それらとの対比を行うことで下された結論です。したがって、対比を行うための引き出しの数、すなわち、過去の経験と「感」の信頼度は比例関係にあります。
「意味のある感」、「プロの感」を獲得するためには、経験が必須です。「何事も経験」という言葉もありますが、正しい判断を下していくためには大変重要なことです。特に、開発の初期段階など情報が乏しい状況の中ではその重要度はより高いものとなります。ただ、何でもかんでも経験さえすればよいというものでもありません。より広い分野はもちろん、一つのことを掘り下げるということも必要です。そして、それらの経験をしていく中で、今回は、何をやって、どういう結果になって、何を学んだのかということをいつも意識して整理していくことが重要です。そうやって、正しい感を働かせるための経験というフィルターをより精度の高いものへと成長させていくのです。ただし、言うまでもありませんが、前述のevidenceはもちろん、知識や情報も必要不可欠です。
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