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やってみなければ分からないは、敗北宣言


  研究開発、問題解決、人材育成はJRLへ 
 

 社会において、また、特に研究開発に関わっている場合には、様々な場面で「やってみなければ分からない」という言葉を耳にするはずである。
例えば、上司から受けた実験等の指示に対して、難しい、出来ないといった意味の回答をした時に、上司から「出来るかできないかはやってみなければ分からない」、「だからまずはやってみなさい」と言われたことが誰しも一度はあるはず。また、逆に、上司に何かをやってみたいと言った時、OKを貰えない場面で「でも、やってみなければ分からない、やってみたらできるかもしれないからやりたい」と反論したことはないだろうか。

 どちらも、一見筋は通っているようにも思えてしまうものである。特に、上司からこのように言われると、反論しにくいという面もある。しかし、本当にこの言葉は正しく使われているのだろうか。

 やってみなければ分からない、確かにその通りのようにも思える。ごちゃごちゃ考えている間に実際に試してみれば良い、というのも完全に否定することは難しいものである。実際にそのようなケースも存在する。しかし、冷静に、かつ、論理的に考えれば、厳密には世の中のほとんどはやってみなければ分からないことばかりとも言える。特に、研究開発においては、基本的にやってみなければ分からないことばかりである。だからこそ、研究開発しているとも言える。言い換えるなら、やらなくても結果が分かっていることなら、やる必要が無いということになる。やってみなければ分からないことであることからこそ、実現した時には新しい何かとしての価値が生まれるのである。そういう意味では、「やってみなければ分からない」という言葉は正しいように思える。

 確かに、意味としては正しいが、ほとんどのケースで使い方に問題があると言える。重要なことは、「やれ」と指示したこと、「やる」と言ったこと、そこに論理的な妥当性があるかどうかである。言い換えるなら、やること、試すことの意味、価値である。すなわち、成功のための道筋が存在していなければならないのである。

  • 部下の提案へ上手くコメントできない
    モチベーションを下げずにアドバイスしたい
    やりたい思いを上司に上手く伝えられない
    思いを論理的にまとめて伝えたい
    仮説と論理の構築をできるようになりたい、したい

    こんな時はJRLにご相談ください

 前述のように、世の中の大部分、特に研究開発に関してはやってみなければどうなるかは分からないことばかりである。しかし、通常の判断においては、少なくとも上手くいかないと分かっていること、または、上手くいかないと思っていることは実行しないか、低い優先順位とするはずである。しかし試してみると判断した背景には、結果は分からないが上手くいくという何らかの考えがあったはずである。すなわち、実際にその道筋が進めるものかどうかは確かにやってみなければわからないが、少なくとも自分の考え、予想が正しければ上手くいくはずであるという元になるものがなければならない。この元になるものこそ、「仮説」と呼ばれるものである。

 やってみなければ分からない、とは言う中でも、この予想、考え、すなわち、自分の仮説が正しければ実現できるという道筋がなければならないのである。本来、実験とはこの仮説の正しさを検証し、実証するための手段なのである。仮設無き実験は単なる行き当たりばったりの博打でしかない。

 良くあるパターンとして、実験パラメーター、例えば、実験する温度範囲について、最初に決めた温度範囲では期待した結果を得られなかった時、なぜ、もっと範囲を広げた実験をしなかったのか、もう少し広げれば上手くいくかもしれないではないか、と言われたことはないだろうか。確かに、この期待は実験前の段階では完全に否定されるものではなく、実際にやってみれば上手くいくかもしれない。しかし、これだけでは、単に希望だけで実験範囲を広げるというやり方でしかなく、仮説に基づいた道筋があるとは言えない。言うなれば、それは何も考えていない、根拠の無い単なる博打である。競馬である時、1−2、1−3を買って外れた時、なぜ1−4を買わなかったのか、買っていれば当たっていたかもしれないのに、と言うのと同じレベルのことである。少なくとも、条件の幅を広げることに対する論理的意味がなければならない。

 「やってみなければ分からない」、一見筋は通っているように思えるので、相手を言いふくめるには大変都合の良い言葉である。しかし、こんな進め方では研究開発は経営資源を無駄に浪費するばかりである。「やってみなければ分からない」で済ませてしまうということは、命題に対する自分の思考において敗北宣言をしているのと同じことである認識しなければならない。絨毯爆撃をするにしても、そのエリアにターゲットがあるという論理的仮説を持っていなければならないのである。スクリーニング的手法もある時には有効な方法の一つではある。しかし、それは論理的根拠に基づいて実験範囲を設定した場合に限定されるのである。

 仮説が合っているかどうかはやってみなければ分からない、だからこそ、実験を行うことで検証するのである。しかし、少なくとも、仮説が合っていればゴールに到達することが出来る道筋が書けることが必要なのである。そして、優秀な技術者とは最短で最も効率的な道筋を瞬時に描くことが出来る人をいうのである。あなたは、「やってみなければわかならない」という手抜き指示で部下のモチベーションを剥ぎ取っていないだろうか。また、「「やってみなければわかならない」という言葉で思考することを放棄していないだろうか。

   
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