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経験と勘は単なるテクニック

 
研究開発、問題解決、人材育成はJRLへ  
 

 世の中には熟練工と呼ばれる人たちがいます。彼らは、常人には計り知れない経験と勘で様々な問題を解決します。例えば、製造プロセスでトラブルが起きた時、彼らはそのトラブルによって発生した不良品をしばし眺めた後、おもむろに製造プロセスの条件をゴソゴソと調整してトラブルを解決してしまいます。

 経験者の勘は豊富な経験に裏打ちされたものであり、博打とは一線を画すものです。そういった点においては、日本の製造業はそういった熟練の技、テクニックに支えられて成長してきたという側面は否定できません。しかし、このことは必ずし諸手を上げて喜んでよいものというわけではありません。

 テクニックとは個人の属するものであり、その正体は文字通りブラックボックスの中に包まれています。そして、技術者の観点で見たときに最も恐ろしいのは、そのテクニックを駆使する本人達でさえその内実を理解できていないということなのです。そうです、本人達もなぜそのトラブルが起きたのか、そして、なぜ解決できたのか分からないのです。ただ、自分の勘に頼って調整したら上手くいったとしか説明できないのです。

 これは、技術の継承という意味での問題はもちろんのこと、同類のトラブルが再び起きた時に必ずしも解決できるとはいえません。結果として現れてくるトラブル自体は同じであっても、その原因も同じであるとは限らないからです。また、別の場所で同じような問題が起きた時も本人がいなければ解決できないのです。


データは出るが、課題・問題が解決しない
装置はあるが使いこなせない
開発も分析も分かる人材を育てたい
目的に合った分析ができない、分からない
データばかりが溜まって成果に結びつかない
分析をどう活用すれば良いかわからない

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 世の中の全ての事象には原因、理由が存在します。しかし、経験と勘に頼ったテクニックには、原因の追求という概念は存在しません。そこにあるのは、理由はどうあれ、理屈ではなく何をやっても、それが本人でさえ何をやっているか分かっていなくても解決できた良いということだけなのです。
 原因を突き止め、その原因に沿った論理的な対策を行ってこそ、類似の問題にも誰でもが対処できるようになるのです。そうなって初めて、テクニックではなく技術となり、知識となるのです。そうやって、やっと問題が解決できたということになるのです。


 研究開発においても同じとこです。実験の結果が上手くいっても、いかなくても、そこには必ず理由があります。良くは分からないが上手くいったからと先に進んでしまっては、問題が発生したときに何も対処できず、また最初に立ち戻って考え直すという堂々巡りをしなければならなくなります。なぜ、上手くいったのか、ポイントはなんだったのか、上手くいかなかった理由はなんなのかをその都度解決していってこそ、実験が完了したことになるのです。

 テクニックや運に頼るのではなく、論理的裏づけの元に進んでいくことが、足元の土台を固め着実に前進していくための方法なのです。そして、その論理的道のりは、客観的事実と結果によってのみ進んでいくことができます。これらを得るための手段が実験であり、その手段が分析なのです。

 分析によって客観的事実であるデータを得て、それをもとに論理的判断を下すというプロセスを繰り返すことで、最終ゴールへの最短で最善の道程を進んでいくことができるのです。すなわち、言い換えるならば、分析を有効に活用できて初めて真の最終ゴールに到達する事ができるのです。



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