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オフィス系ソフトの功罪(報告書、プレゼン資料の作り方)
現在はほとんどの方が報告書やプレゼン資料などを作成する時には、いわゆるオフィス系ソフトと呼ばれるものを使用しているであろう。手書きで作成するというケースは極めてレアケースといっても良い。確かに、パソコンを用いることで修正や加筆なども簡単で、良く似たものの場合にはコピー&ペーストなども容易にできることから効率化という観点ではとても有効であると言える。また、見栄えも簡単にそれなりのレベルにできる。
しかし、決して良いことばかりではない。前述のような便利さゆえ、すなわち、後から手を加えることが容易なことから、ほとんどの人が下書きはおろか、ろくな構想も練らずにいきなり報告書やプレゼン資料の作成を始めているのではないだろうか。誤字脱字を含めて、作成後には推敲を行うので特段の問題は無いと考えられている。すなわち、作成後に十分に推敲を重ねるので最終的な出来栄えは変わりないというのが、いきなり作り始めるケースの根拠、言い訳である。しかし、本当にそうであろうか。
よほどのレベルの人でなければ、どうしても最初に作った文章を土台として、その呪縛から逃れられないまま、中途半端なパッチワーク的修正になってしまうのが落ちである。特に、誤字脱字やその延長程度であれば何とか体裁も整えやすいが、文脈や全体の流れ、ストーリー性といった本当に重要な部分については、このような離散的修正を行っても傷を広げるだけで、問題点を正すことはできていないことがほとんどである。誤字脱字程度であれば、読み手の力での軌道修正も期待できるが、文脈の乱れや、自己矛盾に陥っているようなストーリー性の乱れは読み手を混乱させて、最悪の場合には間違った結論に導くことすらある。
このような観点から、たとえ後からの修正など容易であっても、文章や資料の作成を始める前に全体の流れ、アウトラインや、結論へのブレの無いストーリーを明確に構築してからパソコンに向かうべきであろう。もちろん、オフィス系ソフトにもアウトライン作成機能などがあるので、こういった機能を活用するのも一つの方法ではある。しかし、それだけでは十分であるとは言い難く、やはり理想的には全体イメージを事前に構築しておくことが望まれる。
思いつくままに作られたストーリーから生まれるものは、多くの場合掘り下げの足りない薄っぺらなものになる。いくら後からの推敲と見直しでブラッシュアップしていったとしても、結局はパッチワーク的積み上げであり、最も重要な土台自体がきちんと練られていない影響は拭い去ることはできない。このようなやり方でも十分に練り上げられたものが作成できる人は、極めて高度に訓練されていて、一瞬の内に頭の中に全体イメージ、ストーリーを作成して推敲を行い、完成形のイメージを作り上げることができているのである。紙に書き出しているかどうかの違いだけで、実態的には紙に書いて構想を練るのと同じ作業を頭の中で一瞬ごとに行って、それを元にして作り上げていくのである。しかし、残念ながらこのレベルに到達するのは容易なことではなく、多くの場合はそこに辿りつけていない。
では、具体的にはどうすれば良いのか。もちろん、これが正解という画一的なものはない。こんな時にものの本を読めば、ロジカルシンキングやフレームワークと言った言葉が出てくる。確かに、これらの方法は手段としては良く検討されていて有効性を否定されるものではない。しかし、これらの方法を本当に使いこなそうとすると、それだけでそれなりの訓練も必要であり、加えて、実践するにおいてもそれなりに時間が必要になってしまうことが多い。そうなると、結局は時間を惜しんで元に戻ってしまうことになる。
これらの確立された思考方法まではいかなくとも、いきなり文章や資料を作成するよりは建設的と思われる手順として、「裏紙ワーク」を紹介する。用意するものは、ミスプリントなどの片面を使用した、いわゆる裏紙とペンだけである。もちろん、紙は裏紙である必要はなく、新品の紙でも良いが、より自由に思考するために無駄にしてもあまり惜しくない裏紙を使用する(エコの観点からも重要である)。そして、結論や主テーマ、目的などの重要ポイントを書き込んだ後は思いつくままに、キーワードを書いたり、キーワード同士を繋げたり、囲ったりしながら、流れを作る。そうやって、アウトラインのデッサンを作りながら思考を整理していく。そして、文章であればそこから章立てや各章ごとのポイント(章の結論、テーマ)、章タイトルなどを決めて、さらに、要素を箇条書きにしていく。ここでは、それほど詳細に考え込んで書き込む必要はなく、備忘録的に作り上げていけば良い。それよりも、思考を止めないようにどんどん書き込んでいくことを優先する。あとは、出来上がったものを見直して、それを元にパソコンに向かえば良い。
また、プレゼンの場合には、アウトラインやページごとのタイトルや主旨をメモしていく。そして、それを元にして各ページの簡単なレイアウトデッサンを作り、パソコンに向かうのである。文章、プレゼン共に、途中の手順は状況に応じて省略しても良い。重要なことは、全体像を認識することであり、その過程の思考を止めないことである。白紙の紙、しかも、ドンドン捨てられる紙を使う理由はここにあり、枠に囚われず思考を止めないで書き込んだことを有機的に関連付けできる最も簡便な方法が白紙の紙とペンの組み合わせなのである。
もちろん、この方法がベストで、万能であるなどということは決してなく、手軽にそれなりの効果を期待できる方法の一つでしかない。重要なことは、便利さにかまけて考えるというプロセスを軽視することだけは決して行ってはならないということである。
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