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試料の送付方法
試料の表裏、測定場所の指示も万全に出来上がったら、最後は依頼先への試料送付を行うことになります。一般的には、郵送や宅配便が使用されると思います。日本の輸送事情はかなり信頼がおけるので、輸送中の事故というのは滅多に起きないと考えて良いでしょう。
余談になりますが、実際には宅急便会社によっても信頼度は結構違ってきます。個人的な主観を述べれば、「ストライプのところ」は荷物の扱いが若干荒いという印象を持っており、緑のところは比較的安心できるという印象を持っていたりします。また、海外の有名どころは多くの方が思っている以上に輸送事故が多いように感じます。やはり、飛行機を使うことで紛失等のリスクが高いのでしょう。
いずれにしても、基本的には梱包さえきちんとできていれば滅多なことはないと期待できると思います。
ここで、梱包と一言で済ませていますが、実はそれほど簡単にすまないこともあります。最終的には、クッション材などを十分に入れて、しっかりとした箱に入れて発送することになるのですが、そこまでが問題となります。
まず、多くの方が誤認しているのが透明ビニール(PE)製のチャック付きの袋です。これに試料を入れて輸送したり、場合によっては保管したりする方が多いと思います。製品名もサンプル袋としているところもあるぐらいですから、当然のことかもしれません。しかし、ここに落とし穴があるのです。
確かに訳の分からない汚染物が付いているということは基本的に無いのですが、実はこの袋自体の構成物に汚染が起こることがあります。通常、これらの袋には癒着などを防ぐ目的で滑材が添加されています。メーカーによって種類が異なるのですが、脂肪酸アミド類であることが多いようです。実は、この滑材はその目的からも想像できるのですが、表面にブリードアウトしてくる性質があります。そうです、滑材による試料表面の汚染が起きる可能性があるのです。
とは言っても、転写量はごく微量ですからバルク分析などの場合には基本的問題にならないのですが、表面分析の場合には致命的な問題となることがあります。その検出量は、FTIR-ATRでも検出されるほどであり、したがって、XPSやTOF-SIMSなどの表面敏感な分析手法では致命的といえます。逆に、このような袋に入っている試料を何の違和感も感じずに表面分析を行う担当者は信用できないといえるでしょう。
これはほんの一例ですが、このように日常的に用いられている、清浄であると認識されているものであっても状況によっては用いることができないということは十分に注意する必要があります。
では、どうすれば良いでしょうか。いくつかの方法がありますが、代表的なものとしては、入手性やコストなども考慮するとアルミホイルが想像以上に良い材料として用いることができます ただし、製品は輸送などもあり、完全に清浄とはいえないので、試料との接触は極力避けることが望ましいことになります。そこで、一つの方法としては、一旦アルミホイルを握りつぶしてランダムなシワを形成して、それを広げたものを用いるという方法が有効です。こうすることで、試料とアルミホイルは点接点となるので汚染を最小限にすることが可能となります。
また、フィルムや板状の試料の場合には、飴玉の包みのようにすることでさらに接点を減らすことが可能となります。そして、このようにして包んだ物を堅牢なプラスチックケースなどに入れることで汚染を最小限として輸送することができます。
ここでは、ほんの一例を示していますが、試料によって様々な工夫が必要となるのが輸送なのです。
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