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手段と目的を明確にする

 
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 あなたは、何のために実験をし、何のために分析をするのでしょうか。あなたは本当にこれら、すなわち、実験の目的、分析の目的を明確に理解していますか?

 そんなことは当たり前で、それが分かっていなければ実験などできるはずもないし、トラブル解決などできるわけがないだろう、と思われた方もいるかもしれません。しかし、実際にはこれらのことを本当に明確に理解した上で、計画を進めておられる方はそれほど多くありません。

 そういったケースの中で最も多いのが、目的と手段が混同されているパターンです。当たり前のことですが、研究やトラブル解決、それに付随する実験など全ての行動には必ず目的が存在するはずです。そして、その目的は目指すべき、到達したいゴールであるはずです。もう少し砕けた表現をするなら「何をしたいのか」と言っても良いでしょう。

 しかし、これまでの長年の経験の中で多くの方とやり取りをしてきましたが、これらの目的や自分のゴールをきちんと持っている方、明確に説明できる人はほとんどいませんでした。この分析結果が分かったとして、その結果からどのようなことを証明するつもりであり、それによってどういう結論が導かれるのかと問うてみても、残念ながら応えは返ってきませんでした。その結果を得ることであなたの仮説は立証されて、それによって問題は解決されるのかと問われると、急に黙り込んでしまうか、逆に、そんなことはどうでもいいから分析結果さえ出ればそれでいいと息巻く人。

 自分では持っているつもりでいても、いざ立ち戻って冷静に自分の目指すべき方向、ゴールについて考えてみると、実はぼんやりとしたイメージでしかなかったりするのです。

 そして、目的(ゴール)が明確に定義されていないために、手段と目的が混同されてしまうという事態が起きてしまうのです。例えば、ある実験をしていて同じ事をしているはずなのに、異なる物が出来上がってしまったとしましょう。この段階では実験が失敗か成功かと議論はどちらの物がより適しているかということによるので断定はできません。しかし、同じ事をしているつもりでいるのに異なる物(結果)になるということは大きな問題です。

 今後実験を進めていくためには、なぜ異なる物になってしまったのかという原因、理由を明らかにする必要があります。それが、原料の不安定性によるものなのか、プロセス上の問題なのかを切り分け、改善可能なものであるならば原因から対策を検討し、改善困難であるならば原料やプロセスの再検討を行うという結論を出す必要があります。したがって、ここでのゴール(真の目的)は異なる結果になった原因を明らかにすることであると設定することができます。

 しかし、原料とプロセスの両方を同時に検討することができればよいのですが、多くの場合は難しくなります。そこで、原料とプロセス、より原因の可能性が高いと思われる方を優先して原因究明のための実験計画を立てることになります。そして、それが当面のゴール、チェックポイントになります。

 そこで初めて、原料の違いやプロセスの変動などの原因候補を比較するために必要な情報が明確になってきます。組成なのか、温度なのか、時間なのか、不純物や汚染なのかなどです。そして、これらの中でさらに優先順位が定まっていき実験計画らしきものが見えてきます。しかし、これだけではまだまだ不十分です。ここに分析を持ち込んで、客観的事実の元に判断をしていくためには、条件や仮説を数値にまで落とし込んでいくことが必要になります。そして、それらの数値を明らかにしていくための手段として、どの分析方法が最適なのかということが定まっていくのです。


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 そうです、分析はあくまでも手段であり、決してゴールではないのです。しかし、実際にはいつの間にか分析結果を得ることが目的にすりかわってしまっていることが多々あります。問題の原因として汚染物を考えた時、実験としては不良品にだけ存在する不純物を検出できる分析方法を選択することになります。そして、その結果を元に確かに不純物が存在しているのか、不純物は存在していないかを検証します。



 しかし、仮に不純物が見つかったとしても問題は何も解決していません。それは、不純物が見つかったという事実だけであって、その不純物が真の原因かどうかは確かめられていません。加えて、それが原因であったとしても、その不純物がどういった経路でどういう原因で混入したのかが明らかになって始めて対策を行うことができます。そして、その対策を行って問題が解決して初めてゴールに到達できるのです。

 にもかかわらず、多くのケースで不純物を見つけることがゴールになってしまっていることがとても多いのです。不純物を確認することは、仮説を証明し、結論を導くための手段でしかないのです。にもかかわらず、不純物が見つかったという分析結果だけで問題が解決できたような錯覚に陥ってしまうのです。

 その分析結果をどのように使うのか、それによって何を証明・確認したいのかということが明確に認識できていないのです。だから、分析をして差がないという結果になるとどうして良いか分からず、重箱の隅を突付くような些細な違いに全てをかけるような事をしないといけなくなってしまうのです。

 分析結果が正しいという前提に立てば、差がないという事はそこに原因は潜んでいなかったと考えるのが筋です。そもそもの仮説が間違っていたのです。

 分析の結果は基本的に数値です。したがって、目的を数値化することから作業が始まります。どのような物性値、パラメーターを用いて仮説を確かめて、目的を達成するのかということを考えなければなりません。そういった実験の道筋がきちんとできていれば、手段である分析、そして、分析結果がいつもの間にか目的に変わってしまうというような事態にはならないはずです。

 同様のことは研究開発だけでなく、製造現場におけるトラブルにおいても共通しています。同じ原料、プロセスで同じように製造しているつもりでいるのに不良品ができてしまう。早急に不良品の発生原因を突き止めて不良品の発生を抑えなければなりません。そう、この場合の究極のゴールは不良品の発生を抑えることであり、そのためには不良品の発生原因を明らかにする必要があるということになります。

 そして、発生原因を明らかにするためのチェックポイントとして、良品と不良品の違いを明らかにして、原料とプロセスの切り分け、そして、それら中での更なる追求を行うことが当面の目的になります。そして、その目的を達成するための手段が分析ということになります。

 そして、分析においては、使用している原料の変化や違いを明確にできるもの、プロセス上の問題点を明らかにできる手法を選択していくことになります。もちろん、このときには不良の状態から、ある程度その原因に当たりをつけて(仮説を立てて)、それを確かめることができる手法を優先的に実施することになります。

 このように書くと当たり前のように思われるのですが、実際にはこのような手順では進められておらず、本人も気付かない間に、良品と不良品には何か違いがあるはずだ、だからそれを明らかにできればトラブルは解決できるはずだと、思考プロセスの大部分が省略されてしまい、真の目的と実験プロセスが不明瞭なものとなってしまっていることが多いのです。そして、最終的には良品と不良品の違いを見つけること、場合によっては違っている事を明らかにすることが目的に変わっていってしまうのです。そう、いつの間にか、手段が目的に格上げされてしまうのです。

 こんな風になってしまっては、真の原因に到達できるはずもなく、結局は違うことは分かったが、ただそれだけに終わってしまい、何が理由で違っているのかという検討ができなくなってしまうのです。そして、真の原因にたどり着けないのでトラブルも解決しないという悲惨な結果になってしまうのです。

 目的、ゴールを明確に設定できてこそ、初めて実験や作業が始められるのです。目的やゴールが明確に設定できていないということは、見ず知らずの土地で、それが何かも分からない目的地に向かってただ闇雲に走り始めるのと同じことです。分析は、いわば移動手段のようなものです。目的地向かってに路線が繋がっている適切な分析手法を選択することができれば楽に早く到達することができます。しかし、選択を間違えるととんでもない遠回りをすることになってしまったり、目的地に到達できなくなってしまいます。また、分析を使わないで力任せに実験を進めること、経験と勘に頼ることは、単なる博打でしかなく、目隠しして知らない道を闇雲に走り出すようなものなのです。

 目的(ゴール)を明確に認識し、そこに到達するためにはどのような情報が必要なのかということを十分に検討し、それを得るためにはどのような手段(分析)が必要なのかということを間違えなければ必ず目的を達成してゴールに到達できるはずです。



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