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逆走型アプローチという考え方


  研究開発、問題解決、人材育成はJRLへ 
 

 研究開発に限らず、何かの目的達成、ゴール到達のためには、現在(現状)から目的、ゴールへと繋がるルートが必要である。しかし、多くの人は目先の課題に目を奪われて、自分の進もうとしている道が果たしてゴールに繋がっているのかということを十分に考えないままに進んでいく。

 このように言うと、進んだ道がゴールに繋がっているかどうかはやってみなければ分からないという反論が出ることがある。確かにその通りであるが、この点については、別項の記載を参考にしていただきたい。

 このゴールへのルートを議論するときに、その妥当性や論理性はもちろん重要であるが、極端な言い方をすればそのルートがゴールに本当に繋がっているかどうか、すなわち、正しいかどうかは重要ではない。ここで重要なことは、実際に行けるかどうかではなく、自分の考え(仮説)が正しければゴールに辿り着けると言えるルートになっているかどうかである。また、資金面や設備、時間など現実的な問題で実行が困難であると思われるものでも、仮にそれらの環境的問題が解決したとすれば、と考えてルートを探索することも時には必要である。

 もちろん、ルートを考えるためには、目的、ゴール(目標)を設定すること、現状を分析すること(ポジショニング)が必須であることは言うまでもない。しかし、ゴールが設定できたとしても、現実にはこのルート設定が難しいのである。当然ながら、ゴール(目的)とスタート地点(現状)が分かったとしても、それだけではこの二つは繋がらない。だからこそこれらを繋げるために、もう一つどうしても必要なものが仮説である(目標設定、仮説構築については別項を参考にされたい)。

 しかし、別項でも述べている通り、適切な仮説を考えることもまた、とても難しいのである。理由はいくつかあるが、一つにはどのような仮説が必要かが見つけにくいからである。では、なぜ必要な仮設を見つけ出すことに苦労するのであろうか。高いところに到達するために、ピラミッドを作ることを考えると良い。多くの人は、どの高さに目的、ゴールがあるか分からずに、ピラミッドを積み上げようとしているのである。そんなやり方をすれば当然ながら、土台が小さすぎてゴールに到達できなかったり、無駄に大きな土台を作って(時間とコストをかける)しまうことになる。すなわち、この大きさの土台であれば目的とするところに到達できる高さのピラミッドができるはずであるという根拠(仮説)が作れないのである。当然、本当にその高さにまで積み上げられるのか、積み上げる方法は、と解決しなければならないことは存在する。しかし、まず必要なことは、積み上げることができればこの土台(仮説)で到達できるということである。その上で、新たな課題、すなわち、より近くに存在する目指すべきゴールとしての積み方や資材の調達といった課題に対して同様にルートを考えるのである。

 どんなに大きなピラミッドも頂点(目的、ゴール)から積み方を考えていけば、最善の土台を決め、最短の道筋を考えることができる。すなわち、何も無いに等しい「今(現状)」から始めるのではなく、目的、ゴールからスタート地点に向けてルートを決めていく、これが、「逆走型思考法」である。

具体的には、設定した目的を達成する、ゴールに到達するためには何が必要か、または、何が障害となるかを考える。そして、さらにその達成条件を実現するために必要なことを考える。これを繰り返して、目的、ゴールから現状に繋がるルートを作り出すのである。重要なことは、目的、ゴールから現状(スタート地点)に向かって逆送しながらルートを考えることである。

 このとき、決してやってみなければ分からないという考えを「持たない」ことが最も重要である。この目的達成のためには、この条件をクリアする、この情報を手に入れる、これを明らかにする、といったことを客観的に、論理的に考えることに集中する。極論すれば、机上の空論でも良いのである。そして、予想通り、想定通りにことが進めば達成できるという、言わば、理想の道を考え出すのである。


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 目的を達成するための条件をクリアするためにはどうすれば良いか、何が必要か、また、必要な情報を手に入れるためにはどうすればよいのか、何をすればよいのかということを考えるのである。そして、これが上手くいけば、この考えが正しければ可能となる方法について、上手くいくかどうかを明らかにするためには、この実験が必要になると考えていくことで、現状に繋げていくのである。そして、「実現する方法」が目的達成のための手段であり、「これが上手くいけば可能となる」が一般に仮説と呼ばれているものになるのである。


 このような逆送型思考法を実践することによって、目標を設定し、その達成のための手段を明確にして、その手段を実践、検証するための仮説を定義して、その仮説を検証するための論理的な実験を計画し、実行していくのである。

 不幸にして、検証した結果、仮説が間違っていることも当然ながら少なからずある。しかし、そんなときに悪戯に実験条件を変更して、実験数を増やすのではなく、間違っていたことが明らかとなった仮説構築の段階まで戻って、手段を達成するための新たな仮説を構築するのである。その結果として、仮設の本筋は間違っておらず、パラメーター設定の間違いの可能性が見出せたのであれば、それに沿った仮説のブラッシュアップとして、例えば実験範囲を広げることを行えば、新たな実験が構築できる。外面的には、単なる実験パラメーターの変更であったとしても、考え無しに実験の幅を広げたのではなく、論理的に意味のある実験条件の変更である点は大きな意味を持つことになる。もちろん、仮説再構築の時に、仮説に論理の飛躍が無いかを検討することも有効な方法である。余談であるが、優秀な技術者と見える人は、仮説の矛盾や問題点に他の人よりも鼻が利くとも言える。

 また、出来ることなら、予め複数のルートを考えることがより理想的であるといえる。これは、ゴールへのルートを考えたとしても、前述のような現実的な問題なども含めて、容易に実行できないケースも考えられるというのも一つの理由である。そして、より早く確実にゴールに到達するためにも、それらの中で、実現可能性、論理性、妥当性といった観点で優先順位を付け、最適と思われるルートを優先することは当然のことである。また、ルート探索の過程で、現実的問題が大きなウェートを占める場合には、それが解決した時の実現可能性を論理的に完成させることで、周囲を巻き込むという方法もある。このとき重要となるのが、提案しようとする「ルート」の論理性と実現可能性である。

 ピラミッドも迷路もあみだクジも、現実に目を向ければ明らかなように、答え(ゴール)の方から問題(スタート)の方向に進む方が、普通にスタートからゴールに向かう道を見つけるよりも遥かに簡単であることは誰もが知っている自明のことである。しかし、現実の問題に直面すると、生物の本能として最初の一歩を踏み出すところから探し出してしまうのである。是非、実践の中でこの逆送型思考を試してみていただきたい。


   
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