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イメージ構築による理解


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 知識や情報を「理解」するということについては、色々な定義が考えられるが、その一つとして別項でも述べているように、その知識や情報を第3者に説明することができるかどうか、ということが挙げられる。すなわち、いくら自分の中では理解しているつもりであっても、十分に自分の中で租借できていなければ他者に説明することはできない。したがって、第3者に説明することができて、さらに望むなら、他者に「理解」させることができて初めて自分が「理解」できたと言えるのである。

 自分が理解できたかどうかの判断は、これによって判別することが可能となる。また、他者への説明は自分が本当は理解できていないところを明らかにする上でも非常に有効な手順である。しかし、実際に自分が理解度を上げようとするとき、現実にはどのようにすればよいのであろうか。決してひたすら泥のようになって、その対象を租借することを続ければ良いわけではない。それでは、気が付けば「理解」ではなく、「記憶」の沼に足を踏み入れてしまうことになる。ここで重要なことは、「イメージ」である。

 ここでいう「イメージ」には、明確な定義というものは無く、こうあるべきであるというような制限も無い。人によって少しずつ異なり、必ずしも文字通り絵に書けるように明確なものというわけでもなく、あるときには漠然とした概念のようなものであったりもする。ポイントとなるのは、個々の詳細な部分について注目したり、囚われたりするのではなく、全体として何を表し、意味しており、何が言えるのかというような全体像を俯瞰することである。

 例えば、場合によっては途中プロセスにおける数式の展開や、なぜそのような数式となるのかというようなことは後に回して、全体像の認識に集中するということも重要である。もちろん、これらを将来にわたって無視してよいわけではなく、全体像を捕らえられた後に立ち戻って、今度はそれらを対象としてイメージ構築にチャレンジするのである。ここで、後に回すか立ち止まるかの判断基準のひとつとしては、それが全体の中で手段や道具として登場しているかどうかということが挙げられる。言うなれば、刃物は切るための道具であり、物が切れるものということを単純に受け入れて、料理を作るようなものである。料理を知るときになぜ刃物が切れるのかということは、料理を知り、独創的な料理を作る上では決して重要ではないということである。

 そうやって、個々の構成要素にトラップされることなく、全体像の把握に注力していくのである。そうしていきながら、頭の中に文字通りイメージ、絵のようなものとしてその意味するところを描くのである。ただ、慣れないうちはすぐにイメージを構築することは難しいかもしれない。そのような場合には、対象とするものが意味するところを一言、少なくとも、1文で表現することにトライすると良い。この時にも、数式や科学的な表現などに囚われるのではなく、どのようなものであっても良いので、自分の言葉で表現することに努める。一つの方法としては、それまでの自分の知識や経験の中で似たものを思い起こして、それを元にしてイメージを構築することが挙げられる。そして、一旦は完全ではないにしても自分の表現で表すことができたならば、元にしたものと対象との相違、対象の本質との相違について考察し、さらに適切なイメージへとブラッシュアップしていくのである。

 また、イメージ構築と類似の対象を理解することにおいて効果的な方法の一つとして、「置き換え法」が挙げられる。これは、ある程度対象を反芻して理解が進んだと思われる段階で、対象の本質を意味することができると思われる別のもので表現するのである。この時、全く新しいもので置き換えるのではなく、自分が十分に理解できている、言うなればすでにイメージ構築ができている既知のものやその組み合わせで表現することが効果的である。この時、できることならばより平易なもので置き換え表現することができるとより深く理解できたと考えることができる。また、別の言い方をするならば、子供に対象とするものの概念を説明することができるように、「例示」として表現するというように考えても良い。

 このように、イメージ、概念として全体像を把握することのメリットは言うなれば、答えを先に見てからその問題の解き方を考えることと似ていると言える。別の言い方をするならば、ゴールを設定してからそこに向かって進んでいくことができるのである。このような捉え方をすることで、例えば難しい数式や表現などがどこに向かうためのものであるか、何を言いたいがためのものであるかを考えながら見ていくことができる。

 このように、向かう方向を考えながら見ることでポイントを見つけやすくなり、より理解しやすく、イメージ構築もし易くなるのである。例えるなら、料理で肉を調理するときに、最終的にカレーなどの煮込み系の料理に使うときに旨みが逃げないように焦げ目を付けるために炒めているということを理解した上で実行していれば、どの程度炒めれば良いのかというようなそのプロセスのポイントを理解し、その工程や出来上がりのイメージを思い描きながら進めることができるのである。そして、そのような「炒める」というプロセスのイメージを得ることで、他の場合への応用展開へとつなげることができるのである。

 ここでは、イメージ構築を理解のための方法として示したが、必ずしもイメージ構築に固執する必要はない。要するに、自分の言葉やイメージで対象を表現するということは、自分のテリトリーの中に対象を持ち込むということが重要なのである。そのようにすることで、自分のルールで進めることができるようになり、より深い理解へとつなげることができるのである。言うなれば、理解しようとする理論や定義、技術などをあたかも自分が初めて発見、開発したもののように表現することを目指すのである。そうすることで、理解が深まるだけでなく、自分だけの新しい側面を見出し、新たな創造へと繋がっていくのである。

 もちろん、慣れないうちは時間も必要であり、簡単なことではない。しかし、イメージ構築という考え方を訓練して、慣れ親しんでいくことで、そのプロセスそのものをイメージとして理解できるようになるのである。また、様々な事象に対してイメージ構築を繰り返していくことで、イメージの元になる概念を数多く手に入れることができる。そうすれば、手駒が増えるわけであり、イメージ構築はどんどん加速していくことになる。そして、そこに至れば、どのような対象においても特別に意識することなく、自然に、ごく短時間、場合によっては一瞬でイメージを思い浮かべることが出来るようになるのである。

   
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