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製品・試作品分析 発生ガス分析

 
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 分析には、表面分析やバルク分析など様々なものがあるが、それらの中でも発生ガス分析は重要なものの一つであると言える。これは、多くの材料や製品の製造過程において加熱プロセスが関与していることによるとも言える。これは、ほとんどの材料は熱を加えられることによってガスを発生すること、そして、発生したガスによって材料やプロセスが影響を受けることがあることによる。また、近年では発生ガス成分への人体や環境への影響という観点からも、発生ガス分析は重要なものとなってきている。

 このような背景から、様々なガス分析の方法や手順が検討されてきた。しかし、発生ガス分析では、発生するガスの種別や量も予想できないことも多く、その分析を行うことは決して容易なことではない。また、前述のように多くの分析方法が開発されているが、これは裏を返せばそれらの様々な選択肢の中から最適なものを選ばなければならないということでもある。

 発生ガス分析において、もっともポピュラーな分析方法はガスクロマトグラム(GC)を用いる方法であり、その中で通常は質量分析(MS)と組み合わせたGC-MSが用いられることが多い。これは、検出感度も比較的高く、GCとMSの組み合わせによって定性分析による同定解析が可能である点が主な理由としてあげられる。同定解析については、コンピューターの発達によって、豊富なデータベースを用いた自動解析も利用可能なことも無視できない。また、検量線法などを用いることによって定量分析も可能な点も今の地位を築いた大きな理由の一つであると言える。

 GC-MSは前述のように、感度面や同定解析の面でも高い能力を有するが、例えば、感度面においてさらに高い能力が必要とされるケースが工業技術の発達や環境問題への注目などによる要求条件の高度化によって多くなってきている。もちろん、クロマトカラムや検出部の改良などによる装置性能の向上も実現されてきているが、それ以上に要求の方が速い速度で高度化している問題がある。

 そこで、このようなケースに対応する方法の一つとして、パージ&トラップ機構を有したシステムが検討された。パージ&トラップシステムでは、対象ガスを吸着剤や低温相(トラップ)などに一旦捕集することによって濃縮し、その後、加熱などによって一気に捕集成分を放出して分析することによって、見かけの感度向上を実現する。ただし、パージ&トラップを用いる場合には、吸着剤とガス成分の組み合わせによっては加熱などによっても再脱離しないことや、吸着剤と反応してしまい構造が変わってしまうとおうことがあるので注意が必要となる。

 発生ガス分析においては、感度はもちろんのこと、定量的な評価も重要なことである。もちろん、GC-MSなどでも前述のように検量線法などによって定量することは可能であるが、必ずしも適当な検量線が得られないこともある。そのような場合に有効となるものとして、一般的な熱分析でも用いられているものである熱重量測定(TG)と組み合わせる方法(TG-MS)が挙げられる。TGのデータと、MSのデータをリンクすることで、特定成分の発生量を定量することができるようになる。

 TG-MSでは、通常連続昇温しながら分析を行うが、そのため、多数の成分が同時に発生した場合には、ここの成分の発生量を定量することは解析が困難となることもある。ただ、TG-MSは前述のように昇温プロセスで分析されることもあり、通常のGC-MS測定では無視される脱離温度に関する情報を得ることができる点は注目すべき点である。その理由は、実際のプロセス条件へのフィードバックを行うにあたってはこの温度が極めて重要であることによる。

 ここまで挙げてきた手法は、どれも優れた長所を持っており、様々な場面で活用されている。しかし、これらの方法が苦手とするものもあり、その代表的な例として挙げられるのが水素の分析や、温度情報を維持した微量発生成分の分析である。これらは、特に半導体産業において重要な情報となるものである。そのような背景から開発されたものに、昇温脱離ガス分析(TDS)が挙げられる。TDSは、超高真空中で分析を行うことによって水素の分析を可能としており、同時にバックグランドの低減による検出感度の向上を実現している。

 また、これらとは系統の異なるものとして、インピンジャーなどの捕集菅を用いてイオンクロマト(IC)で評価する方法が挙げられる。この方法では、主に水溶性のガス成分を極めて高感度評価することが可能である。高感度となる理由は、パージ&トラップのところで記述したように、捕集菅による濃縮効果が期待できることによる。実際には、クリーンルーム中のアンモニアなどの成分の分析に用いられることが多い。ただし、原理的に水溶性の成分だけが捕集される点には注意が必要である。

 これらの他にも、派生分析を含めて多くの方法が開発されており、このことは、発生ガス分析が重要なものであるということ示す証拠であるとも言える。ただし、ガスは周知の通り目に見えないものであることから、汚染も含めて十分な注意を払って分析を実施しなければならない。


 

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